経営者の悩み...

 まあ、毎日一生懸命に仕事はしているのですが、果たして私のしていることは正しいのか、間違っているのか。お客様や社員さんのお役に立っているのか、立っていないのか。もっとはっきりと言うと私は経営者としてここに居てもいいのか、居ない方がいいのか...。あと5年間は頑張るとは決めていますが、70歳を過ぎて75歳まで居る方がいいのか、居ない方がいいのか。もし居るとしても私はどう経営すればいいのか深く悩んでいます。
 ドラッカー先生の言葉の中に『経営者は経営しなければならない』とありますが、私はどう経営すればいいのでしょうか。そもそも会社は社会に貢献するためにあると考えると、『経営者の役割』とは3つ。①その会社に与えられた『独特の使命』を社会に果たすこと。②そして仕事を通じて社員さん一人ひとりが『社会貢献』していること。③そして1つでも2つでも『社会の問題』を解決することに全力で取り組むことです。
 次に『経営者の仕事』とは①マーケティングとイノベーションで『顧客を創造』すること。②昨日を陳腐化させて『明日を創る』こと。③選んだ市場でリーダーになる『戦略づくり』④会社や組織の『成果を上げる』こと。そのためには人の強みを発揮させ、弱みを無意味なものにし、人が共同して成果を上げられるようにすることであるとドラッカー先生は言われています。私もそう思います。 
 しかし思ってもできないのが『経営』なんですね。分かっていてもできない自分に焦ったり、無力感を感じたり...。もっと上手に経営ができていれば、役員さん達を責めたり怒ったりする必要もありません。まあこれが私の限界なのかなと、70歳を過ぎて考えるようになりました。そしてそう考えるようになった自分が嫌になってしまって、余計に悩んでしまうんですね。悪循環です。
 で、こういう時の私の解決策はただ1つ。いつも習慣になっている行動を変えることです。ずっと昔に日本一の経営コンサルタントの一倉定先生から教えていただいた言葉で『形から入って心にいたる』です。意味は簡単です。心を変えようと思わないで、あなたのいつもの行動を変えなさいということです。そうすると自然に心まで変化してしまいますよ、という教えです。私もそれを実行することにいたしました。
 はい、私は売上280億円(2022年)社員数1,550人の会社の中では一番偉い人なんですね。だからどんな会議でも座る席は一番上の上座なんです。もう習慣的にそう決まっていますが、もう止めようと思います。会社にはそれぞれの社長さんが居るのですから、『私は下座』に座ります。そして下座ですから勝手な気ままな発言もできません。これが1つ目。
 次に2つ目の行動変更は、私はもう人とは会いません。銀行さんでも、取引き先でも、コンサルの先生方でも、まあ私が一番の決定権者ですから、私にアポ(面会予約)を入れてきます。私も仕方なくお会いしてお話しをするのですが、もう今月からは一切のアポは入れません。私はもう仕事で人に会うことを止めることを決定しました。
 たったこれだけのことですが、形が変われば心が変わるでしょう。心を先に変えようと無駄な努力をするより、無理矢理に今まで続けてきた形を変えれば心も変わるかもしれません。はい、70歳の経営者はなりふりかまわず良いと思うことを、自分が変われることであれば何でもいたします。社員さんも是非ご協力ください。

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